争いが生じる原因について一考

日々、多くの方から法律相談を受けたり、訴訟や調停など裁判所の手続きに対応する中で、争いが生じる原因について、一定のパターンが見えてます。

もめ事の発端から現在までの事実経過を見ると、

ある客観的な事実があった、なかったという、事実の有無に関する争いになることもあれば,

大まかな事実経過に争いはないけれども、その見方、見る方向の違いから、それぞれ自分にとっての解釈をし、感情的な対立からもめ事に発展するケースがあります。

これを例えて言うならば、一人は円柱を真横から見て「長方形だった!!」と言い張る。

もう一人は円柱を真上から見て「いやいや,あれは真ん丸だった!!嘘を付くな!!」と言い張る。

そのうち仲違いが進み、「出る所に出て,どっちが正しいか決めよう!」となる。

でも、二人が見たのは同じ円柱。

見る方向が違っただけ。

見たものは同じ円柱

もちろん、弁護士は、依頼者やご相談者の立場で、その見方に沿った主張や立証活動を行います。

しかし、依頼者からの事情の聞き取りや証拠関係を見て、

「見たものがそもそも違う争い」なのか、「同じものを違う方向から見たことから発展した争い」なのか、という見方は、弁護士にとって必要です。

実際の争いはこのように単純に二分化できないことは承知のうえですが、

弁護士が依頼者の方の話を冷静に聞き、そのうえで依頼者とは違った見方があるのではないか、という検証を怠ることは、解決の見通しを誤る1つの原因になるのかなと感じたりします。

弁護士に求められるのは、事案を俯瞰して、時には相手方の視点からも事実関係、証拠関係を検討できる能力だと感じています。


四季法律事務所

弁護士 森本明宏

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